刀使ノ巫女見たんだよねって話

 タイトル見たまんまですよ。

2年前くらいに勧められて、おっ見てみるか~と思いつつここに至って見てみたわけです。

 

 ストーリー重視でよくできてたと思いますよ。ストーリーってうな重で言えば鰻ですからね、一番大事。

 

 それぞれに割り振られた剣術がキャラクタにリンクしていることや、実際の立ち合いの描写なんかも、多少誇張こそあれ納得感のあるものでした。

 わかりやすいところで言えば、燕結芽が用いる「天然理心流」。たぶん用いられた剣術としては「二天一流」と並んで有名な剣術ですが、天然理心流4代新撰組局長近藤勇、同5代新撰組一番隊隊長沖田総司、と言えばまあわかりやすいですわね。頻繁に喀血してたのは沖田モチーフ。

可奈美が打ち合いでちょいちょい宙返りしてるのは柳生新陰流が体術含みだから、とか、姫和が覚醒したのが鹿島神宮なのは用いる鹿島神當流が祖である塚原卜伝鹿島神宮に千日参籠の末に鹿島の太刀を修得した事に依る、とかまあ言い出せばきりがないんでやめますが。完全な門外漢だし。

 

 僕が触れることといえば、少しの神道狛犬ですよ。

 なんでこの作品の敵がタギツヒメなのか、これちゃんと宗教的な歴史的な理由があります。

 この作品のキーはタギツヒメ、タキリヒメ、イチキシマヒメ

これは須佐之男命の子にあたり、十拳剣を元にして生み出された神様にあたります。

俗に宗像三女神。福岡県宗像市にある宗像大社を総本社に信仰されている神様です。ちなみに世界遺産

で、十拳剣というのが国産みの重要アイテムで、イザナギが黄泉の国より逃げ出す際にこれを振るって追いすがる八雷神と黄泉̪醜女を振り払い、黄泉平坂を岩で塞ぎ現世と黄泉の国を分かったと古事記に記されているわけです。この折に黄泉より「日に千の人の命を奪おう」と恨みが生まれ、イザナミは「日に千五百の人を産もう」と人を繁栄させたと。

 これを転じて、タギツヒメ、タキリヒメ、イチキシマヒメが揃ったうえで、怒りを担うタギツヒメが黄泉の国と現世を繋ぎ、これをもってイザナギの寵愛を受けた人を滅ぼさんとしたわけです。

 ちなみに当初御当主紫様をタギツヒメ依代にしていたのは、実際のタギツヒメがご神体として祀られる際に依代にしたのが紫玉と有職故実に記録されているからですね。細かい。

 もっといえば、タギツヒメを隠世に送るのに姫和が失敗したのに可奈美が関わることで送ることができたのは、宗像三女神を信仰する宗像民と可奈美の柳生新陰流がともに福岡に関係するためじゃないですかね。

 

 あともうちょいいらんこと考えますが、荒魂ってのはあれわかりやすく言えば鬼ですよね。

 可奈美の母の旧姓が藤原、藤原姓は鬼撃ちの逸話の残る一族で、鬼頭の姓は”鬼”撃ちの”頭”領藤原氏の末裔ってことで鬼頭っていったりしますしね。

あと姫和の母親の旧姓は柊。柊も鬼が嫌う植物って言いますわね。

まあそんな感じで。